ナンバー当てゲーム

小さい頃の私は、乗り物酔いがひどくて、遠出をするのが憂鬱でたまりませんでした。車に乗ると、走り出す前から窓を全開にし、助手席にのせられた犬のように呼吸も荒く首を外に突き出していました。そんな私を車に乗せるために、親はかなり苦労したようです。なんとかして気をそらそうとして、しりとりをしたり、歌を歌ったり。オリジナルで様々なゲームも編み出しました。

たとえば、目につく看板を手当たり次第に次々と読み上げるゲーム。対向車の車種を当てるゲーム。中でも一番盛り上がったのは、対向車のナンバーの下一桁を当てるゲームでした。各々があらかじめ自分の数字を決め、対向車のナンバーの下一桁の数字をチェックして、合っていればカウントしていきます。目的地に着くまでの間に誰の数字が一番多かったかを競うものでした。

もう、対向車が来るたびに車内は大騒ぎ。私は後ろのシートから、助手席の母が記入しているメモ用紙の、自分の数字の横の「正」の字が少しずつ出来上がっていくのを一喜一憂しながら眺めてはしゃいだものでした。そんな両親の苦労のおかげで、私は、夏休みの旅行に行くことも、ちょっと離れた町の動物園に行くこともできたのでした。いつの間にか、車に乗るのが平気になりましたが、ナンバー当てゲームのことは、今も時々懐かしく思い出します。

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おとうさんの選んだ車

免許を取得して4年、車に乗るようになって3年目の私は、ホンダのライフに乗っています。車体はシルバー。未だどこにもぶつけたり刷ったりしておらず、3年経った今でも快適に乗っています。人生初めてのこの車ですが、選んだのは私ではなく父でした。社会人となり一人暮らしをする私を連れて父が出かけたのは、父の知り合いが経営する車屋さん。初心者ということで、もちろん新車ではありません。安く、良い車を探しに行きました。たくさん並ぶ車に、私もテンションアップ。自分はどんな車に乗ろうかな、これかわいいな、などと車を見て回っていました。

すると、私の側で車を見ていた父が、「これはどうだ?」と、ライフを指して言いました。丸みを帯びてかわいい車体でしたが、そのときはカラーは白や明るい色が良かったので、シルバーの車体に迷う私。すると、お店の方が、試乗の話しをしてくださいました。「そうだ、実際に運転してみればいいんだ!」と、初めての試乗にドキドキしたのも束の間。なんと、試乗をしたのは父でした。最初から最後まで、私はハンドルを握らず、終始父の運転。助手席で戸惑う私をよそに、黙々と運転を続ける父。そして一言「これがいいだろう」。そのまま購入となりました。

その当時は、なんだかショックでした。もっと他にも見たかったし、色も選びたかったし、運転もしてみたかったのに、と悲しい気持ちになりました。でも、いざ自身が運転するようになって、そして、仕事の関係などで他の車も運転するようになって、その考えは変わりました。ハンドルが握りやすいです。どっしりしているけれど重すぎず、カーブの際もハンドルの操作がしやすいです。メーターも見やすく、背もたれも丁度良くて、通勤にも出張にもショッピングにも大活躍。その時、父が、私のためにこの車を選んでくれたことを思い返すと、父が試乗の際に運転しながら、私の運転のしやすさを考えてくれていたんだと気づいて、とても嬉しく思いました。父が私に選んでくれた車。とても愛らしく見えるシルバー色の、私の大切な車です。

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